あるピアニストの呟き - カワサキタカヲ3動向 -

ピアノトリオ「TAKA3」の関連記事を中心に音楽雑記帳としております。

あるピアニストの呟き ー カ ワ サ キ タ カ ヲ 3 の 動 向

微かな重さ、微かな音

徹夜は得意中の得意。高校時代は体力にモノを言わせ4日連続の徹夜をしたこともある。

深夜、障子で仕切られた向こうから気配が来る。

カサカサと、その音は実に小さく繊細だ。

これ以上小さな音はこの世にはない。と言わんばかりの微小な音。

もう一押しで無音となるような。

しかし決して弱々しい音とは違う。

例えば、音量としては小さいが、音としては強いピアニッシモで演奏出来ること。ピアノにおいてそれほど難しいことが他にあるだろうか?

ピアノの悩みが一瞬脳裏を過るが、それと少し重なるイメージだ。

確信を持って、障子を開ける。

非現実的な白一色のパノラマが広がる。

当り前のように、そのままのジャージ姿で外に出る。

電柱の上に設置した変圧器からブーンというノイズが、より静けさを強調する。

道路に出て、走って勢いを付けて滑って行く。

薄気味悪そうな仕事帰りの女性の眼差し。

少し決まりが悪くなる。

東京だって雪が降る。そうした都会の景色も嫌いじゃない。

菊地雅章の曲で「City Snow」というのがあるが、ああいう感じ。上手く表現したものだ。

しかし真冬が訪れると、自然、僕の心は遠い東北の片隅に帰って行く。

製鉄所の無機質な騒音と、これ以上冷たく荒々しい造作もないだろうという工場地帯、そして周りの山々の稜線、海へと向う川の流れ。その川を横切る橋の上には当時名物だった橋上市場が横たわっている。それは雨が降っても、雪が舞っても、一点の曇りも無い青空であっても、素晴らしいパノラマを描く。

雪の気配のこと、、こういった類いのことに拘り続けるのは、この土地を愛する気持ちから来ているのかも知れない。

土地もそうだし、人間もそうだ。どちらかというと気分屋で、明るく、短気だがすぐ忘れる(笑)というタイプが実に多い。知らない人に平気に話しかける(うちの母もそう)東京では珍しいタイプが普通にいるのも特長だ。

ここで生まれ育ってよかったと思う。

少し遠いが、まあその遠さがあるから想いもまた強くなるのかも知れない。

冬こそ帰りたいというと、親に叱られる。

「風邪をひくから帰るんじゃない!!」

病弱だった子供の頃と変らない過保護ぶりです。