あるピアニストの呟き - pianist TAKA -

ピアニスト・タカの音楽記録です。音楽以外の様々な話題も取り上げます。

グールドを片っ端から聴く(視る)

グレン・グールド
「片っ端から」と言っても、それだけのCDがあるわけではなく、Youtubeなどで他の著名ピアニストと比較しながらといった感じで。
うーん、、凄い!!!

「グールドかぁ、、どうかな?グールド好きなの?そうかぁ、、、、(後は無言)」
音大の私の先生の反応。
今でも夢に出てくるほどの(おそらくあの世でも私の出来の悪さが心配なのでしょう)とても尊敬する方でしたが、グールドとなると、すこし拒絶反応があったのかもしれません。

しかし久しぶりに、こうしてバッハからベートーベンから、ラヴェルからと聴いてみると、他のピアニストとはハッキリした線が引かれており、比較を拒絶する。
グールドはクラシック音楽とあの特異なスタィンウエイを使って、自分自身を表現したに違いない。それにあの椅子の座り方、高さはどうだ?(笑)
私も椅子は極力低くするが(高い位置からの腕の使い方ではどうしても脱力が出来ない)、そんなものの比ではない。というかフォーム自体が随分変則的だ。あれはあのピアノと音の出し方に対しては最大公約数的に線引きされた、グールドの中にあってはとても自然なことだったに違いない。

例えば、野球選手で二度と出ないであろうフォーム(私個人の印象では)二人いらっしゃる。打者では勿論「王貞治一塁手(巨人)」、投手では「山田久志投手(阪急)」だ。王選手は一本足打法、山田投手はアンダースローのフォームを持つが、もはや二度とお目にかかることは出来ない魅力的な形を持つ。他人から見たら、少し変っているな!と思うだろうが、本人の中ではそれが最も理に適っており自然なことなのだ。

グールドのフォームもまた然り、私はどんなにミスの無い現在の優秀な若手ピアニストよりもグールドの方が魅力的と思うが、それは何もピアノのそういったメカニカルなところだけではない。
作品に対するアプローチ、鼻歌(笑)、時折使っていない手で自分を指揮するような動作、音の出し方、所有していたピアノと表裏一体とも言える繊細なタッチ、音楽の歌わせ方、そしておそらく、これが最も大切なことと思うけれど、、、グールドの脳裏を過るものは一体何なのか、、ということかな、、と思う。

残されたインタビューで、「おおよそ自分が芸術家であると思うのであれば、真に創造的でなければいけない」と言われたのだけれど、他の誰でもないグールドの言葉となると重く、実感を伴ったものと感じられ印象深い。