あるピアニストの呟き - pianist TAKA -

ピアニスト・タカの音楽記録です。音楽以外の様々な話題も取り上げます。

3/18ライブ・リハーサル

いつもと同じスタジオで短めのリハを行いました。私は早朝4:00家族を車で池袋まで送り(そう言えばかなりの雨でした)そのまま起きていたので、この日はどこか夢の中で、すこぶる反応の悪い一日でした。
バンドはレコーディングを意識した、適度な緊張のある良いリハでした。

帰りは寄り道をしてカレーをいただいて、私は更に夢の中に入り込み、帰りの電車では立ったまま寝ておりました。
膝がガクガクしてハッとして目を覚ますのですが、また寝てしまう。その繰り返しで帰って来ました。これがまた疲れるものですね。

さて今、最も意識が向いている作品が「Signs」というので、これが一番新しい作品となりますが、アルバムの中ではおそらく中心とならなければいけない位置にあります。3曲から成立しており、クラリネットの筒井さんから意見を伺いながらリアレンジし、P1、P2は完成したところで、P3にかかっているところです。
作曲した本人も腰が引けるほどの難曲ですが、問題はテクニック的な、難易度ではなく、内容とコンセプトです。
実際、難しいとか、簡単であるとか、そういった短絡的な上下関係は音楽においてあまり意味がないと思います。
表現に足りていれば、たった一音だけでも良いのかも知れないし。

この作品は、新しいイメージ表現が主眼です。聴いて絵柄が浮かぶというのは長年基本としてきたことですが、歌詞のない楽器演奏を聴かせる音楽においてはそのようなことは実は当然なのであって、更に踏み込んだ表現をしたいと考えるようになりました。
私は結局、心の動きというのか、時間の質量と差異を音を使って表現したいのかもしれません。私にとって最も興味のある対象は、実は「時間」なのです。
人間はその存在自体が、小さな映画みたいなものですが、それは記憶があるからです。時間の経過と共に人間は、失われようとしている微細な部分を自分が映画監督よろしく繕っていきます。自分専用のフィルターを通すという表現でも良いかも知れない。

例えば、私の父の行う重要イベントである家族旅行は、父の車が不可欠でした。私の定位置は助手席です。助手席から見える風景で例えば目に入るのは「石」です。この石をぼんやり見ていると、果たして帰り道(この石のことを覚えていたとしてですが)それは、本当にあの記憶にある「石」と同じなのだろうか?

そういう疑問が言いようのない魅力をもって私の脳裏を往来しておりました。【続く】